【職人を守る左官屋】守るって何?どうしたら若い人に支持されるのか左官屋の問題提起!
東京都町田市にある、左官工事・機械による土間仕上げ工事を追求する川村工業です。
業界を見渡せば、土間屋の働く環境は改善すべき労働問題に溢れています。
真夏の炎天下での施工、スラブの上が50℃の高温で倒れるかと思う一方、真冬には生コンの硬化が進まず車中泊で夜通しでの作業となる長時間労働。
これから我々のような建設業の施工会社が若い人材の採用をしていくためには、職人を守れる企業であることが条件となってくるであろうと感じています。
当然このような労働問題、現場での事故などから社員を守るのは会社の努めです。さらには受注数を確保すため厳しくなっていく「現場のルール」やゼネコンの要求にも順応していくことを考えなければならない。
我々に何ができるのか。その行き着く先にあるのは何なのでしょうか。
今回はこの「職人を守る企業」というテーマについて川村工業独自の考えを書いていきます。
【職人を守る左官屋】
左官屋、土間屋にとっての労働問題とは
大前提として、現状の土間屋の仕事のやり方から見る労働問題について示しておきたいと思います。
真っ先に思い浮かぶのは、真夏の屋外での作業です。
現場で熱中症で倒れる職人が居ようものなら、会社の監督不行き届きと見なされ一大事です。
しかし、土間屋は生コンを扱う仕事。
生コンは常にタイムリミットとの戦いで、打設中の生コンを途中で止めて休憩に行くなどそんなことはできません。打設が終わるまでその場を離れることはできず、ルーティーンで毎日決まった時間に十分なだけの休憩を取れるわけではありません。
熱中症の予防対策!と呼びかけがある一方で、実際には頭にタオルを巻く、水分補給、飴を舐めるなどその程度しかできることが無い。
海外では季節によって日中の屋外工事を禁じる国もあり、ドバイのような気温が50℃を超える灼熱の国では屋外工事は夜間に行われます。
本気で熱中症対策を考えるのならばと、川村工業でも夜間工事を提案したことがありますが、土間仕上げ工事に関わるのは土間屋だけではないため多職種との連携が難しいという理由で実現には至りませんでした。
だからと言って一時間置きに交代しながら作業させられるほど「安全」に対して予算が出るわけでもなく、そうなれば職人を守るため我々にできることは今のルールの中で工事のやり方を見直し工夫を凝らすことです。
そうして編み出された工法が、従来より30%もの管理コスト削減・合理化を図ることができるメクレーンポリッシュ工法です。
メクレーンポリッシュ工法なら、労働時間が削減できるだけでなく瑕疵を抑制し、ゼネコンの負担になっていた「追加工事」も大幅に削減できる。そして環境にも優しい。
土間仕上げ工事の作業範囲は「生コンの均し」から「磨き上げる」までですので、その間の分離発注を一括施工へとシフトしてもらうことで、融通の効く人工調整ができ、職人の交代制も実現しやすくなる、元請け側の管理も減るというわけです。
一括施工という考え方は、重曹下請け禁止というゼネコンの方針にもマッチしているのです。
ここで何が言いたいのか。
それは、施工会社に突きつけられる条件が急速に移り変わる中で、自らのあり方をスピーディーに変えられるかが会社の存続に多大な影響を及ぼすということです。
「今まで通りでいいや」という変化を拒む考え方が現場に通用しなくなる、そして職人を守るという観点からも若い人材から選ばれなくなってしまうと考えています。
【職人を守る左官屋】
働く職人の立場から考える
ここまでは我々企業側の視点で話してきましたが、職人の立場に立ってみるとどうか。
恐らく
熱中症だろうが何だろうが、現場に出て稼ぎたい
という意見も一定数あるでしょう。
コンプライアンスを言葉だけで押し付けるのではなく、残業してでも働いて稼ぎたいという働く側からのニーズにどう応えていくかです。
川村工業では職人の働き方を以下の4パターン用意しています。
- ▶ 正社員雇用
- ▶ 個人事業主/フリーランス
- ▶ 協力会社
- ▶ 外国人の方の採用または技能実習生の受け入れ
ワークスタイルを自由に選ぶことができ、「稼ぎたい」「休みたい」「自由に働きたい」あるいは「力を付けたい」というどれにでも応えられる体制があります。
将来社長を目指したい!という独立志向の強い人には、弊社独自の技術や経営ノウハウを全て提供し、独立後も協力体制を築くことで超速で独り立ちしていただく支援型プログラムも用意。
稼ぎながら、そして全国出張で新しい刺激に触れ、美味しい物を堪能しながらメキメキ成長していただけます。
ワークライフバランスの自分の好きな領域で働く。職人も働き方が選べる時代なのです。
【職人を守る左官屋】
個でのし上がれた時代から、チームでの評価に変わった建設業
さて、自分らしい働き方が選択できるようになり、次に考えるのは人材の育て方です。
どんな職人に育てるか、またそれと同等に重要なのは、どんな職人・会社が求められている時代なのか社会の声を聞くことだと思います。
現場はいかに変わったのか。
昔の左官屋、職人というのは、まさに腕一本で勝負する、言ってみれば野武士のような集団でした。
ルールに縛られることを嫌い、学校を辞めて働く人も多く、個人でも十分に活躍できた時代です。
みんな目をギラギラさせて、それこそ職人の世界ですから腕が良ければのし上がれる、どんどん仕事が舞い込んできました。
野武士の上を行くにはもっと強い野武士になればいいという、下剋上です。(笑)
だから圧力による教育(技は盗め、見て覚えろ)が成立していましたし、それで良かったのです。
今、建設現場を見るとどうでしょう。状況が全く違います。
現場はどんどん取り締まりが厳しくなり、一人親方が現場に入れなくなってきています。
個人としての動き方に制限がかかり、左官屋・土間屋においても同じく、今はチームでしか信頼を得るのが難しくなっています。組織として評価されるようにベクトルが変わってきたのです。
(川村工業 研修中の様子)
そう考えると建設業は他業種と相反する部分があるのかもしれません。
個の自分を売るという時代から、組織で勝ち残っていく時代だということ。大きく違うのはここなのです。
現代の建設現場はルールの厳しい、まさしく「学校」のような場所です。
ではこの状況で若い人々から「働きたい!」という支持を集めるには、どのような教育が求められているのでしょうか。
【職人を守る左官屋】
伝統やお金ではなく「環境」で球団を選んだ大谷翔平選手
チームで勝っていくというのはスポーツと同じで、野球チームで例えることができます。
昨今、世間の注目を集める若年層の選手といえば大谷翔平選手です。
その活躍ぶりから、大谷選手の人間性や思想が度々メディアで取り上げられていますが、名門球団「ニューヨーク・ヤンキース」のオファーを断ったのは有名な話です。
多くの日本人選手がメジャーでの最初の一歩を踏み出してきたニューヨーク・ヤンキース。その豊富な資金力を持つ伝統球団を断り、大谷選手が選んだのはトレーニングに打ち込みやすい環境が整ったロサンゼルス・エンゼルスでした。
ブランドや伝統といった型にはまることなく、”なりたい自分になるために”生活しやすい環境を選んだのです。自分の価値観で。
川村工業が人材育成で大事にしているのは、その自主性を伸ばす環境整備です。
いつでもスキルアップのための練習ができる研修施設を敷地内に建設し、世界最新鋭の施工機械も使いたい放題に使える。
会社との行き来がしやすいよう、社員寮も併設しています。
また、弊社で経験年数を積んで世帯を持った社員には、暮らしやすいよう近隣に一戸建ての家族寮を建築。複数名の社員が個別に建てた一軒家で生活しています。
実力を付けたい、将来独立したい、全国出張で各地を周り色んな現場を見てみたい、そういった志の高い左官職人が日本各地から集まって、自ら率先して腕を磨く。それが叶う環境を数年間の時間と投資を掛けて充実させてきました。
どれだけテクノロジーが普及しようと、時代が変わろうと、職人の真髄にあるのは「終わりなき探究心」ではないでしょうか。金ゴテでの手作業であっても、最新の施工機械であっても、その根っこの部分だけは変わらない。そう信じていますし、全社でそこに取り組んでいるつもりです。
だからこそ、この環境を求める人材=高い目標に共に向かっていける人材が、集まってきてくれるのです。素材があり、トレーニングに必要な設備があり、全てが揃って初めてスーパースターを輩出できると考えます。メジャーに行く前から、マイナーリーグの頃からそうした整った環境で職人を育てるのです。
【職人を守る左官屋】
技術だけじゃなく「カッコよさ」も追求。職業へのイメージは自分たちでつくる
弊社の代表、川村は下積み時代から一風変わった左官職人でした。
毎日の出勤時、作業着だけでなく着替えの私服を持参。仕事が終われば必ず私服に着替えてから現場を後に帰路につく。
「職人は服が汚れている」
「汗臭い」
「かっこ悪い」
そんなイメージを一ミリも感じさせない振る舞いを徹底していたのです。
(ブランディングされたトラック)
今でもこれだけ自社ブランディングに注力しているのは、当時と同じ信条があるからです。
「もし建設業の職人にネガティブなイメージがあるとするのなら、それは自分たちが創り出している。」
一度たりとも職人をカッコ悪いと思ったことなど無いし、カッコいい職業だと思っているからプライドと誇りを持ってやってきたんだ、と。
川村工業は、ユニフォームの統一や、トラック・社用車にロゴを施すラッピングを他社に先駆けて取り入れてきました。左官職人という職業としてのカッコよさを追求してきたのです。
それまでの左官屋にあった既成概念、見た目を全て変えました。
現場にいても公道を走っていても会社の宣伝になり、また、空き時間や他業種の作業を待っている時間に好きなテレビ番組を楽しめるように全車両にテレビ機能付ナビを設置。
他社の職人さんたちからは「その服どこで買ったの?」「このトラックいいなー!」など、よく声をかけていただきました。
その洗練されているという周りからのイメージが、社員にとっての誇りになるのです。
【職人を守る左官屋】
教育の行き着く先は「自立」
今回、職人を守る企業というテーマで書き連ねて来ましたが、自分の価値観で自分の好きなものを選ぶ時代、現代の教育の行き着くところは「自立」を促すことではないかと思っています。
安全面・雇用面で守ることはもちろんのこと、そのもう一歩先。
先述した自主性を伸ばす環境と言いたいことは一緒ですが、教えられるより自分で学んでいける人間に育てるということです。
またそのあり方も、若い人に教え込むという教育ではなく、むしろ教えられているのは我々企業側であり、古参の職人から新参社員に歩み寄り、若い世代の意見を学ぶ。
いつだって時代を引っ張っていくのは若者です。
ベテランの古き良きものに、若い世代のアイディアやスタイルが融合する。そこから生まれ出る文化や社風が、最も理想的なのだと、弊社では考えています。
色々な角度から話をしてしまいましたが、少しでも職人という仕事に関心を持つ若者に届けばと願っています。
また、同様に人材採用に取り組む職人会社さまや、建設業全体への問題提起として伝えられていましたら幸いです。
川村工業では常に職人の採用を行っていますので、日本人でも外国籍の方でも、いつでも見学に起こしください。
国内最先端の左官屋の社内、ワークスタイルをご案内させていただきます。
全国からご連絡お待ちしております。
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